常連の高齢のお客様が、成人の息子さんがバイクで転倒して足に怪我をしたものの病院に行きたがらず、患部からジュクジュクした体液が出ており、ガーゼを剥がす時に傷口に張りついてしまうという相談を受けた。
体液に色はついていないそうだが、別なお客様からも以前に、父親に処方された抗生剤の『ゲンタマイシン軟膏』を息子さんが塗ったものの、やはり傷口にガーゼがついてしまうため対策を相談されたことがある。
薬を使わずに湿潤療法の『キズパワーパッド』の大判を使うか、軟膏なのにベタつくのを嫌って量を少ししか使っていない可能性があるため、たっぷりと盛り付ければガーゼが張りつかないことをお話したところ、通気性が良く比較的傷口から剥がれやすい『ワンタッチパッド』の大判を購入された。
お客様からは傷口を乾かした方が良いか訊かれたので、体液は傷を治すのに必要なことを説明した。
現在では湿潤療法が推奨されているように、傷口に滲み出る体液には殺菌作用と修復作用のある成分が含まれているので、患部を清潔に保つために水道水で洗い流したら、それをさらに過剰に乾燥させないほうが良い。
それよりも、家族に処方された病院の薬を使うのは好ましくないことをお話したうえで、化膿を防ぐための薬としては正しい選択だったことをお話した。
注意はしたいが、不愉快な思いをされると話を聞いてもらえないから、その加減が難しい。
ただ、今回はすでに一週間ほど経っているというから心配だ。
以前にも、息子さんは手を大怪我しても病院に行かなかったから。
お客様からは、「先生」「先生」と呼ばれて、なんだかこそばゆい。
やや高齢のお客様から、『消毒用エタノール』の無印とIPの違いを尋ねられ、酒税の関係であることを説明した。
無印の方は飲めてしまうので酒税がかかっていて、IPにはイソプロパノールを加えることによって飲めなくなり、酒税がかからない分だけ少し安い。
厳密には、口に触れる物の消毒には無印を使うと考えられるものの、IPにしてもゴクゴク飲む訳ではないから、それほど気にしなくても大丈夫だろう。
本日は、特にお買い上げはなかった。
買い物しなくても、知ってもらいたいことはたくさんあるので、質問してもらえるのは嬉しい。
特に、何か発症していて対応する薬を求められた場合には、効能に書いていない作用については積極的に教えることはできないけれど、なんでもない時になら雑談の中で知識の一つとして教えられることがあるから。
例えば、鼻づまりは鼻の奥の血管が炎症して膨らんでいるため、鼻炎薬でなくても抗炎症作用のある鎮痛剤でも効果を期待できるのだが、効能に鼻づまりは書いていないから、その目的では販売できない。
でも、鼻が詰まって頭痛がすると言われれば、頭痛を主訴として鎮痛剤を使い、ついでに鼻づまりも軽減するという考え方はできる。
そんなお話は、実際に発症している場合には、やはり控えるんである。
若いカップルの男性のお客様から口内炎の薬を求められ、塗り薬と飲み薬があることと、塗り薬には炎症を抑えるのと患部を修復するための物があることを説明した。
お客様は、貼るパッチタイプが目に止まったようだが、患部は唇の裏側というため軟膏を勧めてステロイド剤の『オルテクサー軟膏』をお買い上げいただいた。
唇の裏側にパッチを貼っても、歯が当たって外れやすく、貼り直す手間より軟膏を塗り直すほうが楽。
ちなみにパッチタイプには、『口内炎パッチ大正クイックケア』のように基材が溶けずに残るタイプと、『トラフルダイレクトa』のように基材が溶けるタイプとがある。
溶けなかった基材は飲み込んでも大丈夫で、食事などで患部が食べ物と当たるときには、溶けるタイプでは困ることもあるから、状態によって使い分けることとなる。
お客様には、患部には炎症したい理由があるので、入浴して冷たい飲み物は避けるよう伝えた。
炎症というのは、患部を温めて免疫機能を活性化するとともに、修復する材料を運ぶ血流を良くするため。
冷たい物を飲んだりすると、いっときは気持ち良く感じるものの、身体の方は「もっと炎症しなきゃ」と頑張ってしまうから、患部にしみない程度には温かいか常温の物を飲食し、お風呂に入ることにより無理に炎症する必要の無いことを身体に教えてあげるほうが、炎症は早く治まる。