乳児を連れたお客様から、子供用の服薬ゼリーは何歳から使えるか尋ねられ、『おくすり飲めたね』は7ヶ月目からと答えた。
しかし、病院から処方されている薬を確認したところ抗アレルギー薬のドライシロップなので、白湯に溶いて飲めるはずと説明した。
ドライシロップは甘味のついた粉薬で、水にすぐ溶けるからそのまま飲むこともできる。
一方、溶けやすいようにとお湯で溶いてしまうと苦味が出てしまうから、溶かすのならば水で。
お客様には、調剤した薬局に先に問い合わせてみるよう勧めたうえで、『熱さまシート』の赤ちゃん用と一緒にお買い上げいただいた。
調剤薬局は薬を受け取るときだけでなく、病院を受診していなくても相談に応じてもらえることを教えると驚かれた。
若いお客様が『アレジオン』と『アレジラスト』で迷っていて後者を持ってきたので、使用経験を尋ねると初めてというため『パブロン鼻炎カプセルSα』などとの違いを説明した。
まず、『アレジオン』と『アレジラスト』は同じエピナスチン製剤で、同じ働きをする成分違いの抗アレルギー薬にはフェキソフェナジン製剤の『アレグラ』がある。
その働きは、症状を抑えるよりもアレルギー反応を起こさないようにするのに優れていて、それゆえに発症していようがいまいが、一定の期間毎日服用するのが効果的。
今日は症状が起きていないからと服用しないと、バリア効果が薄れて身体がアレルゲンに反応してしまう。
一方、『パブロン鼻炎カプセルSα』などは起きた症状を抑えるのが目的で、副作用に眠気の他、体内を乾燥させてしまったり、血管を拡張させる成分と収縮させる成分が一緒に入っているため、連用すると症状を悪化させるか咳など別な症状を引き起こす。
お客様の症状は強めなようなので、本格的に効果を発揮するまで数日を要する可能性があるため、点鼻薬や目薬を併用するか、『パブロン鼻炎カプセルSα』先に使って、症状が落ち着いてから乗り換える方法も提案したうえで、お買い上げいただいた。
花粉症と腸の関係をお話して入浴を勧めると、シャワーで過ごしてるとのことだったが、湯船には入ろうと思えば入れるというため特に下半身を温めるのが大事と力説しておいた。
ウイルスや菌などの外敵から身体を守る要は、脳と同じ細胞を持っている腸の役割で、本来は害にならない花粉といったアレルゲンに過剰に反応してしまう免疫機能の暴走が花粉症。
つまり、寒いと身体が思い通りに働けないように、寒いと物を考えるのも面倒になるように、腸の機能が低下すると免疫機能の暴走が起こるのだ。
だから、それを防ぐためには積極的に温かい物を飲んだり、お風呂に入ったり、服装は上半身を涼しく薄着をしても下半身は厚着をするのが有効。
また、食事も消化に良い物に切り替えて、腸が消化に忙しくならないようにするのと、乳酸菌飲料や漬物などをメニューに加え腸内環境を整えるのも養生法となる。
すると、お客様は生理も苦しそうで、そういうことも調剤薬局で相談できることをお話すると驚かれた。
お客様から、ズキズキする頭痛に『バファリンプレミアム』を使っていて良く効いているものの、飲むと吐き気がして心配というため、胃の不具合が関係する頭痛であることと、その薬に入っている鎮静成分が内臓機能を低下させてしまうので、その吐き気が薬のせいか頭痛のせいかは分からないことを説明した。
とはいえ、確かに吐き気を伴う頭痛は心配な要素でもあるので、水分代謝を改善して頭痛を軽減する『五苓散』と、水分代謝の改善の他に腹部を温めてくれる『呉茱萸湯』を紹介したうえで、病院の受診を勧めた。
そして、病院を受診したら同じ病院に通院することと、お薬手帳を持ち歩くことの大切さをお話した。
よく1回行っただけで処方された薬が効かなかったからとか、行っても鎮痛剤を処方されるだけだからと通院をやめてしまう人がいるけれど、医師は成分違いの薬の候補を何種類か考えているし、それを使用した後の経過についての観察もするから、行くのをやめたり安易に他の病院に替えてしまうと、経過観察の連続性が失われてしまう。
でも、同じ病院に自身の情報を積み重ねていけば、「いつもと違う」といった大病に気づいてもらえる確率が上がる。
そして、いつももらう薬が同じだからと現物だけ持ち歩いて、お薬手帳を家に置きっぱなしにしてしまう人がいるが、外出時に事故に遭った場合はもちろん、こうして市販薬を購入するさいにも、「どんな薬を継続しているのか」という連続性のある情報が参考になる。
お客様は、鎮痛剤を繰り返し使うことを心配されたけれど、痛み止めを使うこと自体は怖がらなくても良いことと、痛みを我慢して体力を失うのも他の病気を起こすことになり良くないことをお話した。
そういう意味でも病院に行くことは重要で、漫然と市販薬を連用するのと、医師の監督下で薬を継続するのとでは違う。