やや高齢のお客様がメモを手に『チョコラBB』と水虫薬のスプレータイプを求められ、前者には『チョコラBBピュア』と『『チョコラBBプラス』があることを伝えると、売り場で迷われた。
ご主人から頼まれたそうだが、頼んだ人が薬の正確な名前を覚えておらず、銘柄名で指定してしまうのは良くあること。
今回の場合、どちらも皮膚をケアするビタミンB剤なのは同じで、プラスに足してあるのはコラーゲンの生成を助け美白効果の期待できるビタミンC。
薬を頼む時には、用途も伝えておいてもらえると絞り込みやすい。
両者の違いを説明すると、お客様は『チョコラBBプラス』の大容量を選ばれた。
水虫薬のスプレータイプというのについては、粉ではなく液体とのことで、しかし銘柄を覚えておらず霧吹きタイプの『ブテナロックVαスプレー』のパッケージを見て同じような物を逆さにしてたというお話から、似た商品として『エクシブEXスプレー』を案内したものの、そちらは患部をサラサラに保つためにパウダーインであることを説明し、季節商品の『ダマリングランデアイススプレー』も紹介した。
粉というのは良く分からず、他の剤形だと患部に浸透しやすいクリーム剤と、塗り拡げやすい液剤があること、そしてスプレータイプは薬剤が拡散してしまい無駄にやりやすく費用対効果の点で勧めにくいことを説明した。
また、毎年なるそうだが病院に行ったことはなく水虫とは確定しないいないうえに、「3日くらい使うと良くなる」と言ってやめてしまうそうなので、どちらも好ましくないことをお話した。
水虫は湿気の多い季節や汗をかくと発症しやすいが、あくまで原因はカビと同じ真菌によるもの。
一方、同じ条件下では湿疹にもなのやすく、両者の違いは顕微鏡検査でしか確定できないから、症状だけでは判断できない。
そして、水虫に非ステロイド成分の痒み止めの塗り薬を使う分には、真菌の退治はできないものの痒みは抑えて身体に問題は無いのに対して、湿疹に水虫の塗り薬を使ってしまうと殺菌成分が刺激物でもあるため皮膚が治ろうとするのを邪魔してしまう。
だから水虫の薬を使うのであれば、まず病院での確定診断が必須。
そのうえで水虫と確定した場合には、真菌を退治することが大事なので、痒みや見た目の症状が治まっても最低でも1ヶ月程度は毎日使い続けないと意味が無い。
それと、真菌は症状が現れている場所以外にも生息域を拡大してると考えて、患部の周囲に広く薬剤を塗布する必要がある。
その意味ではスプレータイプも悪くはないものの、いかんせん空気中に飛び散る量が半端ではなくロスが多い。
お客様は「エクシブだった気がする」と言いつつ、『ダマリングランデアイススプレー』の購入を決められた。
先の説明を、ご主人に「言ってみます」とのお返事だったけれど、どこまで本人に伝わるか。
できれば、本人に来店してもらいたいところ。
もしくは、スマホで通話とか。
子供を二人連れたお客様が、虫刺されの特設コーナーを見てからスキンケアの棚へと移り、何か探してる様子だったので気にかけていたところ『ポリベビー』を購入された。
油分の入ったクリーム剤で、軟膏と同様、ベトつくことで患部を保護してくれる特性を持っている。
ただ、ヒアリングしてみると「子供に使うから」という理由で選ばれたようなので、他の痒みや炎症を抑える薬のクリーム剤・軟膏・液剤の使い分けについてお話をした。
使用感で剤形を選ばれる人が多いけれど、人間の身体は外敵の侵入を防ぐためのバリア機能が高く薬といえども浸透しにくいのを、バリアを破って浸透しやすく調整してあるのがクリーム剤だから、同じ処方構成であればクリーム剤のほうが効果が高いと考えられる。
ベトつくのを嫌がられることの多い軟膏は、そのベトつくことにより皮膚同士や服などと擦れるのを防ぐ絆創膏の代わりをしてくれるため、物と触れて刺激を受けやすい指先にも適している。
そして液剤の利点は、薬剤が手につきにくいだけではなく広げやすいことだが、患部が複数ある場合には、まず液剤を塗り拡げてから患部の場所や状態に合わせて、クリーム剤か軟膏を重ね塗りする方法もある。
お客様からは、「参考になりました」と言っていただけた。