お客様が『オロナインH軟膏』を見た後に、『リンデロンVs』について病院で処方されている物と、どちらが安上がりか質問された。
患者は子供だそうなので、薬はリスクのあるものだから市販薬は使い方も含めて自己管理のうえ、経過観察も自分で行なうのに対して、病院を受診した場合には医師や薬剤師の指導を受けながら経過観察してもらい付随する情報も得られるため、それらも勘案しないと単純な価格の安さで比較できないことをお話したところ、子供の患部の写真を見せていただいた。
皮膚疾患の場合、患部を写真に撮っておくのは良い方法である。
継続的に撮っておけば経過観察そのものになるし、蕁麻疹のように一時的で病院やお店に行くときには消失してしまう場合にも役に立つ。
また、風邪や胃腸の不調などもカレンダーアプリに症状などをメモしておくと、やはり参考になるから、ぜひスマホは活用してもらいたいところ。
今回は、子供の両手がかぶれていて、冬前からで少し治ってきたものの両手とも中指が治らず痒みよりも痛みだというので受診勧奨したけれど、病院に本人が行きたがらないとのこと。
まず、『リンデロンVs』がそうであるように、ステロイド剤は抗炎症の塗り薬としては強い部類で、それを怖がる人がいるけれど、最初に強い薬を使って症状を抑え、症状が軽くなったら薬を弱いものに乗り換えていくステップダウン方式が望ましいことを説明した。
ただし、ステロイド剤にも強さによるランク5段階あり、市販されているのは下から3段階までに限られるから、それ以上は病院を受診しなければ処方されないし、それが必要かの判断は医師がする。
それから、ステロイド剤をむやみに怖がる必要は無いものの、患部の皮膚が治ろうとするのを邪魔し、免疫機能を落として雑菌への耐性が弱くなるので、患部を掻き崩して傷になっている場合には注意が必要である。
あと、塗り薬の剤形を好みで選ぶ人がいるが、クリーム剤と軟膏では目的が異なる。
人間の皮膚はバリア機能が高くて、薬が浸透しにくい。
塗り拡げやすく手を汚さずに済む液剤は、特にそうである。
クリーム剤は、その皮膚のバリアを破って浸透しやすいように調整されており、症状が酷い場所に使うのが効果的。
一方、軟膏はベトつくことで患部を絆創膏のように保護してくれるので、服と擦れたり皮膚同士が擦れる部位に適している他、今回のような指に使えば物と触れるのを防いでくれる。
本人が患部を気にして触ったり、寝てる時に布団と擦れてる可能性が考えられるから、クリーム剤を塗って『ワセリン』を重ね塗りするか、軟膏を使うようお話して、本日はお帰りになった。
ちなみに、『オロナインH軟膏』はワセリンに消毒剤を加えた物で、治す成分は入っていないことを教えると驚かれた。
正直、『オロナインH軟膏』で治る程度の皮膚疾患は『ワセリン』でも治る。
患部を保護してあげれば、人間には治す力があるからである。
お客様がスキンケアの棚の前で長考していて、閉店時間が迫っていたため声をかけたところ、入院していてお尻がかぶれているとのことだった。
床ずれではないようなので『リンデロンVs』を案内し、ステップダウン方式と軟膏とクリームの使い分けを説明した。
床ずれは、昔は寝たきりで患部が下着と擦れてなる皮膚疾患と考えられていたが、実際には体重によって血管などが潰れて患部の細胞が壊死している状態なので、塗り薬では対応できない。
本日は『リンデロンVs軟膏』をお買い上げいただき、患部の写真を撮って経過観察するよう勧めた。