お客様が『コートfAT軟膏』と『テラ・コートリル軟膏』をレジに持ってきたので、別々な人が使うのか尋ねると湿疹に自分が使うというため抗生剤とステロイド剤を合わせた『クロマイP軟膏』も紹介してみた。
『コートfAT軟膏』にはステロイド剤の他に雑菌の繁殖を抑える殺菌成分が入っているとはいえ、わざわざ別に抗生剤の『テラ・コートリル』を買うのであれば『クロマイP軟膏』という選択もありうる。
ただ、ステロイド剤が炎症を抑える力が強い代わりに皮膚の再生を妨げ、免疫力も低下させるから抗生剤がそれを補うものの、お客様は「湿疹と吹き出物に備えて」というから別々に揃えるのは良いことと伝えた。
そして、軟膏とクリームの使い分けをお話すると、湿疹の方は薬をやめるとまたなってしまうと分かった。
軟膏はベトつくことで絆創膏のように患部を保護してくれるから、皮膚同士や服が擦れる場合に向いているし、何かと物に触れやすい手に使うのが良い。
一方、クリーム剤はベトつかないという理由で選ばれることがあるが、皮膚は外部からの侵入を防ぐバリア機能が高く、そのバリアを破って浸透するように調整されているため、症状が強い場合に適している。
場合によっては、クリーム剤を塗った上から『ワセリン』を重ねて保護するという方法もある。
そうお話すると、病院で強いのと弱いのとで2種類のステロイド剤が処方されていたそうで、後に『フルコートf』も使い、『コートfAT軟膏』の方が効くから乗り換えたという。
むー、それは評価しにくい。
ステロイド剤は強さによってランクが5段階あって、市販されているのは下から3ランクまで。
病院で処方された薬の名前を覚えておらず、どのランクだったかが分からない。
また、薬をやめるタイミングが適切だったかも分からない。
見た目に赤みが引いたり、痒みを感じなくなったからといって続けたほうが良いか、やめて良いかというのは、医師からアドバイスを受けるのが最善。
『フルコートf』と『コートfAT』の違いとして、後者には局所麻酔が入ってるおかげかもと答えると、そのリドカインのことは知っているようだった。
内服薬として『十味敗毒湯』を紹介し、処方薬にもあるからと病院の受診を勧めたら、試してみたいと購入された。
ありゃん、こちらの目論見と違ってしまったか(^_^;)
お客様は病院は2軒行ったというので、薬が効いたにしろ効かなかったにしろ同じ病院にフィードバックするのが大事とお話した。
同じ病院ならカルテに情報が蓄積されるが、自身で別な病院に行ってしまうとカルテの情報はそれぞれの医師に共有されない。
もし病院を変えたいのであれば、診療情報を持って次の医師に行くことができるように、紹介状を書いてもらうのが良い。
また、自身でも経過観察をするために患部の写真を撮っておくよう勧めた。
お客様が『メンタームEXプラス』を手に取って見ていたのに、レジの持ってきたのは『メンタームAD』だったため、尿素が入っていない方が良いのか尋ねると「違いが分からなかった」というので、基本の痒み止めとしての処方構成は同じで、前者には水分を皮膚に捕まえておく尿素が入ってることを説明したところ、変更になった。
乾燥性の痒みに使うのかもしれないが、症状については教えてもらえなかった。
尿素は保湿の他に角質を融解する働きもあるから、乾燥だけでなく皮膚が固くなっている場合に適していて、患部の場所や状態によっては血流を良く皮膚の新陳代謝を促すヘパリン類似物質の方が向いてるとも考えられるので、本当は深掘りしたいところ。
「違いが分からなかった」というのであれば、なおさら相談してもらえると良いのだけれど、何故かそこに不安は抱かない不思議。
常連のお客様が『葛根湯加川きゅう辛夷』をレジに持ってきて、汗かぶれの薬を求められたので『アセムヒEX』を案内した。
いわゆる「汗疹(あせも)」と「汗かぶれ」とでは起きていることが違い、汗疹が汗腺の目詰まりで炎症するのに対して、汗かぶれは汗に含まれる塩分などで炎症するため、『アセムヒEX』には汗が皮膚に再吸収されるのを防ぐタンニン酸が入っている。
ただし、汗かぶれは正式な病名ではないし、汗疹の薬にしろ虫刺されの薬にしろ、基本は痒み止めと抗炎症成分で構成されているから、手持ちにあればそれらを使えば良いし、タンニン酸の効果がどれほどあるのかは分からないことを説明すると、今回は取りやめになった。
家には『液体ムヒS』があるそうなので、『アセムヒEX』に入ってるステロイド剤よりランクは低いものの、ステロイド剤だから先に試してみるよう勧めた。
ちなみに、『ムヒSクリーム』にはステロイド剤が入っておらず薬としては弱めだから、選ぶときにはご注意を。
剤形が違うと中身も違う薬の代名詞みたいなもんである。
お客様はシャワーで過ごしてるそうなので、入浴して汗をかいた方が、汗疹にも汗かぶれでも予防になるとお話した。
汗をかいて汗腺の目詰まりを防ぎ、新陳代謝を促すことで皮膚が汗に反応して炎症する機会を減らすのだ。