パッケージの効能で市販薬を選ぶお客様と、副作用が気にかかる店員との厚い壁

 若いお客様が『アンメルツゴールドEXネオ』を購入されるさいに、強めの薬を希望なのか確認すると「大丈夫」というお返事で会計を済ませたら「値段が違う!」(値札より高い)って怒られ、売り場を見に行ったところ隣の『アンメルツゴールドEX』と間違われてると分かり、そそくさと帰ってしまわれた。
 前者がジクロフェナクトリウム製剤で、後者がフェ ルビナク製剤であることを伝えられなかった。
 パッケージのデザインが似てて紛らわしいから、私も品出しのときに間違えそうになるんで、そんなに恥ずかしがらなくて良いですよ。
 むしろ問題なのは、痛み止めとしてはジクロフェナクナトリウムの方が上で、浸透力にも優れていること。
 痛みへの対応は、弱い薬をダラダラと長く使うより最初に強めの薬で対応し、痛みが治まるに従って弱い薬に乗り換えていくステップダウンが良いし、強めの薬なら弱い痛みもカバーするから悪い選択ではないように思える。
 しかし、副作用として光過敏症が現れる可能性があり、使用するさいにはUV対策が必要となる。
 しかも、この光過敏症は薬を塗った患部に現れるとは限らず、浸透力に優れているのが仇となり、関係の無い場所に発症するケースがあって、副作用とは気づかないことが懸念される。
 たとえば、皮膚がかぶれて病院に行った時に、医師に使ったことを伝えようとは思わないかもしれない。
 そういう説明をしたかったので、落ち着いてもらいたかった……。

 お客様が『スットノーズαプラス点鼻薬』を2個購入されるのでヒアリングすると、一応は別々な人が使うとのことで安心した。
 鼻水を止めるために体液を分泌する腺をキュッと締める作用が、鼻の中の細い血管にも影響して血流が悪くなり、栄養が行き届かなくなると炎症を起こしてしまう。
 つまり連用すると、かえって鼻炎の原因になるから、使わずに休憩する日を作るように伝えて下さいと、お願いした。
 また、同じ鼻炎でも鼻づまりへの対応は苦手で、炎症を抑えるのに優れたステロイド剤の点鼻薬のほうが適応することを伝えると、お客様は鼻がムズムズする程度のようだった。
 局所麻酔の入っている『スットノーズαプラス点鼻薬』は、確かに合っているだろう。
 ただ、もう一人の使用者に適応しているかは分からないのが、気になると言えば気になる。
 できれば、薬の購入は本人にしてもらいたいところ。

 お客様が『小中学生用ノーシンピュア』をレジに持ってきたさいに、鎮静成分入りで良いか確認すると知らなかったようで、家で宿題をするのに困るかもとお話をしてアセトアミノフェン単剤の『バファリンJ』を案内したけれど、水無しで溶けるチェアブル錠は嫌がるというため、『小児用バファリンC2』を紹介した。
 11歳の子供が頭痛を訴えるそうだが、痛み方は分からないというので頭痛の種類を説明し、肩こりと連動してる場合の『葛根湯』を紹介すると粉も嫌がるとのことだったので、錠剤もあることを伝えた
 『小中学生用ノーシンピュア』を以前に使った時の使用感を本人に聞いていなくて知らないそうで、「本人に聞いてみます」と本日は購入せずにお帰りになった。
 ちなみに、ズキズキするタイプの頭痛の場合は胃の不具合と連動してることが多く、『五苓散』が適応する。
 やはり市販薬を購入するときには、本人を連れてきてもらいたいところ。
 症状の確認はもちろん、剤形の好き嫌いなども本人でなければ分からないし、なにより“薬の買い方”を学習する機会を持ってほしいと思う。

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