お客様が『マードレトローチ』を見ていて、実際に購入するのが『コルゲンコーワトローチ』だったので、ヒアリングしてみたところ年齢制限を確認していたという。
10歳の子供が喉の痛みを訴えているそうなので、年齢的に使えて抗炎症成分で構成されている『パブロントローチAZ』を案内し、変更となった。
年齢制限を確認しない人は少なくないから良いことなれど、成分と効果についても確認してもらいたいところ。
相談に応じるのが私たちの役割だから、ぜひ相談して下さいな。
商品の価格には販売員の人件費が含まれていて、その人件費には私たちの商品知識といった情報も入っている。
つまり、なんの相談もせずに薬を購入するということは、商品の情報料を支払っておきながら情報を置いて帰るようなもんなんである。
お客様には、喉の痛みは風邪とは限らず胃炎の可能性もあり、患部を食べ物が擦るのも良くないため、噛まないで済む食事をとお話した。
それから、剤形が同じでも成分が異なると効果も変わることを伝えた。
やや高齢のお客様が『のびのびサロンシップ』を購入されるさいにヒアリングしていたら、病院で処方された『ワセリン』は透明だったのに、病院に行くのが面倒だから他のお店で買った『白色ワセリン』は白かったとのことで違いを質問され、純度の違いであることを説明した。
不純物が多いと黄色がかった色をしていて、純度が高まるにつれ白くなっていき、やがて透明な『ワセリン』となる。
店頭だと、『白色ワセリン』と透明な『ワセリン』だと価格差が2~3倍くらいあり、純度の高いほうが肌へも優しいとは考えられるものの、使ってみて問題が無ければ拘らなくても良いだろう。
お客様は、元々は鼻づまりで鼻をかみすぎて血が出てカサブタができていると剥がしてしまい、また血が出てを繰り返したため病院で処方されたそうだが、この『ワセリン』の話に辿り着くまでが長かった。
お客様からご主人の頭痛の相談を受け、鎮痛剤は普段は使わず「暑さのせいかも」と言っていたというため暑気中(あた)りにも使う『テイラック』(五苓散)を紹介したうえで、鎮痛剤の売り場を案内したところ、『バファリンA』は知ってるということから『イブ』との効き方の違いを説明した。
人間が痛みを感じるのは、状態が悪くなった部位に痛みを伝達する物質が作られて、それが中枢神経に伝わるから。
それで身体に異常が起きたことを脳を認識する訳だが、痛みを止めるアプローチとしては大きく分けると3つある。
一つは、痛みの発信元で伝達物質を作るのを邪魔する。
つまり、ボールを投げる投手を抑え込むようなもの。
もう一つは、痛みの信号を受け取る中枢神経側、ボールを取るキャッチャーの方を抑え込むイメージ。
そして3つ目は、投手もキャッチャーも両方を抑え込んでしまう。
3つ目が一番強力で良さそうに思えるかもしれないが、人間の身体機能というのは複雑で、そう簡単には行かない。
例えば、痛みの伝達物質の一つであるプロスタグランジンの場合、胃を保護するように命じる信号も兼ねているため、痛みの信号を止めると胃を守る機能も一緒に止まってしまう。
「鎮痛剤は胃に悪い」と云われる所以で、実は薬が直接的に胃に悪さをしているとは限らないのだ。
この、痛みの発信元に働きかけるのがアスピリン製剤の代表が『バファリンA』であり、イブプロフェン製剤の『イブ』は同じ系統のロキソプロフェン製剤の『ロキソニン』ともども、発信元の末梢神経と受信先の中枢神経の両方に作用する。
痛みの信号を受信する中枢神経だけに効果のあるアセトアミノフェン製剤の『タイレノール』(医療用は『カロナール』)は、だから胃に優しいと言える反面、痛みの伝達物質の生成を止めてくれないので炎症への効果が無く、肝臓に悪影響が出やすいため飲酒の習慣がある人には適さない。
どの鎮痛成分も一長一短があり、体質と生活習慣、そして目的に合わせて選ぶことが重要なんである。
今回の頭痛の場合、ご主人は「暑さのせいかも」と言っており、さらに「たまになるみたい」というお話から気圧の影響の可能性も説明した。
ズキズキする片頭痛もそうだが、ストレスを受けやすい胃が暑さや気圧の影響で悪くなると、セロトニンという物質が脳の周囲の血管を収縮させてしまい、一気に血管が開くと血管の内側を血流が擦って起こる症状である。
そのため、改めて『テイラック』も候補になることを伝えてみたが、馴染みがあるということで『バファリンA』を購入された。
血流を良くする性質もあるアスピリン製剤の『バファリンA』は、肩こりと連動するような頭を締め付けるタイプの頭痛に向いていて、胃を悪くして起こる頭痛には適さないのだけれど、買うのは薬を選んでいたかもしれないのだが……。