説明しよう病にかかってしまった

 漢方薬の棚で迷っている様子だったため声を掛けてみたけれど、案内するのは断られた。
 でも選んでいる間も、咳を繰り返している。
 そしてレジに持ってきたのは、『葛根湯』だった。
 えっ、どうしてそういう選択に(^_^;)?
 一応、咳が治まらない時には、『五虎湯』『麦門冬湯』に乗り換えることを検討するように伝えましたが。
 ううむ、喉の痛みならまだしも、あの乾いた咳の調子じゃ悪くするだけだと思うんだ。
 お客様が選んだ物に、どこまで口を出して良いものか……。

 お客様から、差し歯の根元が化膿したとのことで、痛み止めを求められた。
 今までに使ったことのある鎮痛剤を尋ねてみたけど、覚えていないという。
 前に使って効いた物があれば同じ物を勧めるし、合わなかったなら避けたいところ、選択肢が無駄に広いと案内するのに困る。
 とりあえず効果範囲の広さから、『バファリンプレミアム』を案内して、お買い上げ頂いた。
 ただ、差し歯が合わなくて可能を繰り返すようであれば、痛み止めより化膿止めのほうが良いだろうと思い、うちのお店には置いてないけど、保険の適用薬でもある『排膿散及湯』を紹介した。
 すると、会計したばかりのその場でパッケージを開封して、水も無しに、そのまま飲まれた。
 って、あーっ!!
 1回の錠数も確認しないで飲んだでしょ!?
 何錠……口に入れたの?
 と訊けないままアワアワしつつ、ようやく「何か食事をされてから……」と言おうとしたら、「オレは、そういうのは信じてないからヨ」と一蹴された……orz

 やや高齢のお客様から、置き薬にしたいとのことで、『葛根湯』について質問された。
 一応は効能に扁桃腺炎も書いてはあるものの、あくまで初期の話で、本格的に喉が痛む時と、発熱したからでは適応しないため、「喉が痛い……気がする」とか「寒気がする……かな」というタイミングで服用することを説明した。
 そして、『葛根湯』だけで済ませようとするより、症状に合わせて発熱したら『麻黄湯』に、熱が下がり始めるか食欲が落ちたら『柴胡桂枝湯』へと乗り換えていくのが効果的ですと伝えた。
 また、『コルゲンIB透明カプセルα』のことも尋ねられたため、そちらは早めに服用する使い方はできないので、症状が現れてからという事と、持病による制限が多い事を説明した。
 すると、「難しいのねぇ。なってから相談するわ」と帰られた。
 アウッ、先のお客様たちの反動で、つい……(;´・ω・)

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